yamada-isak's thinking

できるだけ自分自身できちんと考えたことを書きたい。できるだけ、ね。京都から日本を、世界を考えます。

ask me!京都/リスタートへのマニフェスト2013.05.29

前のエントリーから1週間、空いてしまいました。

今日は私自身が考えている(でも、動けていない)プロジェクトについてです。

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昨年(2012年)の3月のある朝、眠りと覚醒のはざまで、ふと思いついたアイデア。
ask me!京都と呼んでいます。

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これを立ち上げ、成長・拡散させ、この社会と世界を変えたい。そう思っているのですが、まだちゃんと動けていません。まだ私自身の中で、この仕組みが動く社会のイメージが十分に具体的になっていないのです。昨年夏に試作品を作り、今年(2013年)に入って新しいバッジとカードも作りました。幾人かの方にはご登録もいただきましたが、スタートしたと呼べる状態ではありません。その間、如何にしてスタートアップするか、また成長させるかなど、いろいろ考えて来ましたが、ようやく考えがまとまりそうです。
今日は、この仕組みを現実のものにするために、考えをまとめたいと思います。
これはいわば、ask me!京都のリスタートためのマニフェストです。

 

この企ての動機は、以下のようなものです。
京都には、ありがたいことに、毎年約5,000万人の方々が国内外から観光に訪れ、そのうち1,000万人以上が宿泊してくださるのだそうです。

<京都市広報資料/平成23年度京都観光総合調査の結果>

京都に暮らしていると、とても頻繁に、様々な街角で、ガイドブックや地図を拡げて立ち止まっている人を見かけます。私はおせっかいなタチなのか、そういう人を見ると声をかけずにはいられないのです。そうした人のほとんど方が、自分のいる場所が判らないか、または行きたい場所(名所、交通機関、宿泊先など)への方角、道筋や方法が判らなくて困っている人です。
私はこれまで、数えきれない人に地図上の場所や目的地の方向を指し示し、道順を教え、時には目的地まで同行したりもして来ました。
それで、思ったのです。
「もっと多くの、京都で暮らす人々が、自分がしているようなことをすれば、どうなるか?」
「だれを呼び止め、だれに聞けば、親切に教えてくれるか、どうすれば判るか?」
「単に道順などを教えてあげるだけでなく、もと充実した京都案内はできないか?」
そして思いついたのが「ask me!京都」です。

ask me!京都の基本的な仕組みは、次のようなものです。
(1)京都に住む志ある人が「教えてあげるよ」という意味の印を身につける。
(2)教えてもらった人が、感謝の気持ちを示す印を身につける。
基本的には、これだけです。
そしてその「印」を、2種類の「バッジ」として制作しました。
「ask me!京都バッジ」と「Thanks!京都バッジ」です。
<ask me!京都webサイト>


2013年版として今年1月に300個ずつ作りましたが、まだ全然活かせていないのです。

この印を身につけることから、いろんな場面の展開が想像できます。
例えば...

(a)京都にはたくさんの善意ある人々がいることが、全国に世界に伝わる。
(b)京都を訪れたら、まずask me!京都な人を見つけるようとする。
(c)京都を訪れた人と、ask me!京都な人が、お友達になる。
(d)次に京都を訪れる時には、事前にask me!京都な人から情報を得る。
(e)ask me!京都な人にお願いして、京都を案内してもらう。
(f)ask me!京都な人がいるお店やまちを訪ねる人が増える。
(g)ガイドブックなどに頼らずに京都を楽しむことができるようになる。

最後の項目は、ガイドブックなどを作っている人たちからは煙たがられそうですね(笑)。
でも、より良い手段に替えることができるものは、その「より良い」ものができた段階で、需要が無くなり、消えて行くことは、ある意味で仕方がないことなのかな、とも思います。または、ガイドブックなど印刷物は、その特性にあわせて役割を変えて行くことになるのだと思います。

こういうことです。
京都に限らず「まち」は生き物です。日々、まちは変化して行きます。また季節や日時によって同じ場所もちがう様相を帯びます。お祭りなどはその典型ですね。印刷物はこうした変化に十分対応できません。また、大量生産の印刷物にはその制作・編集者の想いや好みが色濃く反映されます。また大量生産であるがゆえに、情報は一般的で当たり障りのないものになりがちです。それは必ずしもそれを利用する方の好みやニーズと一致するとは限りません。
特に観光ガイドブックの場合には、情報は「点」の集積になりがちです。また「おすすめコース」などを示したとしても、そのストーリーづくりに利用者の指向を反映することができません。これは印刷物に限らず、あらかじめコースが決まっている既存の「ガイドツアー」などにも言える欠点です。

私が理想とする旅案内の姿は、以下のようなものです。
たとえば京都についたら、京都の人と会います。そして、自分がこれまでどんな京都を見たことがあり、どんなことに興味があって、今回の京都の旅では、どんなことを期待しているかを話していただきます。その話をもとに、その方のニーズや期待により良く応えられる「ガイド」を選んで、具体的なプランを作ります。もし必要であれば、ガイドが同行する場合もあるでしょう。また、同じ好みの方々が見つかれば、一緒に行動することも考えられます。

このような、いわば「オーダーメイドの京都案内」を最終形として想い描いた場合、そこへと至るプロセスとして、ask me!京都の仕組みを使えるのではないかと考えているのです。それは何より、ask me!京都の仕組みが「自ら進んで京都を案内したい」という気持ちを持つ人々の発掘を基礎にしているからです。
最終形からさかのぼって、そこへ至る「課題」考えてみましょう。

(A)プランを作り、同行する「ガイド」のスキルアップ
(B)お話し(好み、ニーズなど)を聞き、プランをつくる「場所」
(C)常駐するガイドが、ガイド以外の時間に行う「業務・サービス」
(D)ask me!京都ピープルの中からの専任ガイドの選定と雇用
(E)ask me!京都に賛同し、支えてくださるask me!京都サポーターの拡大
(F)ask me!京都の窓口になるask me!京都パートナーの拡大
(G)ask me!京都の利用者としてのThanks!京都フレンズの拡大
(H)潜在する善意を活かす意志を持つask me!京都ピープルの拡大

ということで、このプロセスを(H)から(A)に向けて、上昇して行くためのプランを練ろうと思います。まず、より多くの、明確に「より良い京都を案内してあげたい」という意志を持つ方に、ask me!京都ピープル(ask me!京都バッジを身につける人)になっていただくか?です。

ここで重要なのは「より多く」と「明確な善意の意志」の両立とバランスをいかに確保するか?という問題です。単に「多く」を求めるのであれば、だれにでも無料で配布すれば良いのです。しかしそれでは「質」を保つことができません。有償であれば、ある程度の「敷居」が設けられ、このバッジを持つことのメリットを一定以上意識する方だけがバッジを持つことになります。それでも、それぞれの方の意識の内容については「価格」でコントロールすることができません。
あなたが、京都やその特定地域、歴史や文化、産業などにどのような知識と興味を持っておられるか?また、あなたが「素敵」と思う京都を他所から来られる方々に伝えたい、という気持ちをどの程度お持ちなのか?さらには、実際に他所から来られた方に気持ちよく接し、親しく伝えることができるかどうか?などを、直接お会いして確認する必要があると思っています。その場合でも、伝えたい分野や内容、伝え方の作法などはそれぞれの方の個性を生かすことが大切だとも思います。ですから、選考の基準は固く高いものにする必要はないと思いますし、それぞれのピープルが得意とする分野や地域などもフレンズから見て判るようにするのが良いでしょう。

Thanks!京都バッジを身につけてくださる「フレンズ」も、できるだけ多くの方になっていただきたいですし、一方で「フリーライダー」「クレーマー」的な方が増えないような対策も必要だとも思います。つまりバッジを持っていることを振りかざして、無償でサービスを受ける権利だけを主張するような方にはご遠慮いただける仕組みが必要でしょう。
ask me!京都ピープルの登録時には、じっくりとお話しをすることになるので、たとえば登録料などを納めていただくことも比較的容易ですが、Thanks!京都バッジをお渡しする際には、ほとんどの場合、街角で立ち話的に情報を提供することになり、また、その時の少量の情報そのものに課金する印象が強いため、難しいと想像できます。Thanks!京都バッジは、無償でお渡しするしかないでしょう。
ただ、その場合に大切なことは、このask me!京都という活動について簡単にご説明し、理解をいただく、そして「すばらしい!」と思っていただくことだと思います。そのための「ツール(パンフレットなど)」も必要です。すでにカードは作成済みですが、これで良いかどうか、もう一度精査が必要だと思っています。

順序としては、まず、ask me!京都ピープルを増やして行く所から始めなくてはなりません。最初は私がよく知っていて、信頼がおける方々にお願いすることろから始まり、さらにこれらの方々からそおnお友達などへ、主に「クチコミ」で拡げて行くことになります。これと平行してfacebookなど顕名性の高いSNSを通じて、またマスコミや広報物(カード、webサイトなど)を通じて、不特定多数からのアクセスを誘導することになります。
ただし、情報の訴求対象が不特定多数になった場合でも、ask me!京都ピープルへの登録は直接面談を行って判断する、と言う原則は崩すことはできません。そのための時間と人(応談者)の確保は大きな課題です。またこのコストによって「登録料」の設定は左右されるでしょう。現在想定している登録料は1.000円/人です。

ask me!京都ピープルはもちろん、Thanks!京都フレンズになってくださった方々とのつながりも、大切にしなくてはなりません。基本はSNSだと考えています。現在の想定はfacebooktwitterです。
現在既に、ask me!京都では、facebookページとtwitterアカウントを開設していますが、運用は全くできていません。facebookページはask me!京都という取り組みと仕組みについての広報媒体であり、関心を持ってくださる方への告知と、シェアによる拡散を期待する媒体です。またtwitterは随時、京都案内情報をプッシュするとともに、個別の案内事例などを紹介するとともに、興味のある方にフォローいただくことでask me!京都とつながる方を増やして行く媒体と考えています。
もうひとつ必要なのが、ask me!京都ピープルとThanks!京都フレンズだけに限定されたコミュニティだと思います。これはfacebookグループが適しているだろうと思います。登録いただいた方をグループのメンバーとして登録し、メンバー相互の情報交換・交流とメンバー限定の情報提供の媒体になるのがこのグループです。このように、当面は既存のSNSサービスを活用してコミュニティを形成するよう努力したいと思います。

京都を訪れる方々と京都の接点として重要な場所に、観光案内所や宿泊施設、そして数多くのお店などの事業所があります。こうした施設や事業所に勤務などをされている方がas me!京都ピープルになってくださった場合には、その施設や事業所の許可をいただいた上で、その場所をask me!京都パートナーとして無料で登録させていただきます。パートナーはその概要と場所をマップ上に記載してwebで公開する予定です。
また、個人として登録していただくas me!京都ピープルには、現在地などをGoogle Latitude やForesquareなど、マップベースのSNS機能を利用してチェックインしていただき、ask me!京都事務局がこれをフォローすることを考えています。

当面はこれらの既存SNSサービスを活用しつつ、将来は、独自のスマートフォン・アプリケーションを開発・配布することも必要かと思います。複数のSNSサービスで流通する情報をまとめるとともに、マップベースでリアルタイムの情報を共有できるものをイメージしています。
また、この仕組みは当然、京都以外の都市・地域でも応用が可能です。アプリを開発する段階ではグローバルな汎用性を考慮することになると思います。

京都以外の都市・地域での展開については、私自身は、特にそこで流通する情報や人材ネットワークについて、対応することができないでしょう。このサービスは特定の地域に愛着と知識を持っている人々のネットワークをベースにするものです。ですから、他の都市・地域で展開する事業とサービスは、その都市・地域の方に担っていただかなくてはなりません。ただ、ask me!京都はこのシステムの創設者、先駆者としてサービスの枠組みを管理し、必要な基盤を提供する義務を負っていると考えます。もちろん、他の都市・地域での新しい発想や工夫、方法論などを活かして、これを汎用システムに実装して行くことも私たちの仕事に含まれます。
そのような全国、世界の仲間とのつながりが創り出せることに、大きな期待を持っています。

さて、ここまでで上に挙げたステップの(H)から(F)までが、だいたい整理できたかと思います。その過程で、上のリストにはなかったSNS利用や独自アプリの開発にも触れました。まだまだ考えて行かなくてはならないことがたくさんあります。ただ、ここまでの思考も結構複雑(煩雑)だと私自身も感じています。
もっとシンプルに、判りやすくしなくてはいけません。言葉での表現はもちろんのこと、実際の現場でこの仕組みを動かす時に、如何に自然によどみなく、当然のこととして頭脳と言葉と行動を創り出すことができるか?そのためには、いわば「かた(武道などで言う所の形/型)」のようなものが必要とも考えています。たとえば、迷っているように見える方に声をかけるときの言葉と仕草などです。

ともかく、動かし始めなければ何も始まりません。着想から1年以上、試作からももうすぐ1年が経とうとしています。動かさない機械は故障しがちです。ともかく2013年6月から精力的に動かして行きたいと思います。

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これからしばらく、自分の考えをまとめ、プロジェクトの動かし方を具体化するために、ask me!京都について書いて行きます。(2013.05.29/山田章博

mail:yamada.isak@gmail.com