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yamada-isak's thinking

できるだけ自分自身できちんと考えたことを書きたい。できるだけ、ね。京都から日本を、世界を考えます。

沖縄の地政学的位置は不変か?40年前の沖縄の尊い意志に応えるために

BLOGOSに掲載された2つの記事をを受けて、沖縄と東アジアを考えます。

アメリカはいつまでも「日本の味方」ではない

ついに「安倍政権は米国の国益を害する」とまで言い出した米議会報告書

なお、これらの記事のソースとなった通信社配信を末尾に引用掲載しておきます。

 さて、状況を整理しましょう。

日本は、沖縄はもちろん、尖閣諸島竹島も、当然「我が国のもの」と思っていたら、それぞれ「え、この島は当然、俺たちのものだと思うけど?」と横やりが入り、おたおたしている間に足下を見られて「それだけじゃなくて、沖縄全部も俺たちのものだろ?」とか言われて「あわわ、それは筋違いです」とか小声で言ってます。という状態。

一方、太平洋の向こうでは、「安倍君、もうちょっとさ、ご近所のお友達の気持ちとか、考えてくれないと、番張ってる俺たちの立場ってモノもあるし、困るんだよね!」とか言われている状態。

 問題は何でしょうか?

1.当然、自分のものだと思っていた沖縄が、獲られるかも知れない不安

2.当然、味方(後見者)だと思っていた合衆国に見捨てられるかも知れない不安

でも、その「当然、思っていた」ということそのものが「当然じゃなかった」と言うことを、まず確認することからはじめなくてはならないと思うのです。

そして、なぜ、これまで、そのことを「当然」と思える程、事態が安定していたのか?さらに、なぜ、ここに来て様々な状況が、こんなにも流動的になっているのか?

そして、一番大事なことは、この流動化しつつある(もしくはすでに流動化している)状況を、どの方向へ導き、どのような状態に安定化させたいのか?できるのか?どのようにすればできるのか?ということを思考しなくてはならないのです。

私は思考します。でなければ、とても悲惨な事態を招きかねないからです。本当に悲惨な事態を避けられるのであれば、全てを投げ打つ覚悟も必要と思う程に。

 事態の推移を予見するために、情勢配置を整理しましょう。

メインプレイヤーは「合衆国」「中華人民共和国」です。その間に挟まっているニュートラルゾーンが「日本」「韓国」「北朝鮮」「台湾」です。

※本当は「ロシア」を加えないといけないのです。でもここは単純化のために除外。

※ロシアを加えると今度は、日本本土と北海道が下記と似たような状況になります。

メインプレイヤーはこのニュートラルゾーンをどちらが支配するかの陣取りゲームをしている訳です。現在までそのラインは台湾海峡〜東シナ海〜半島軍事境界線(38度線の非武装地帯)にありました。

台湾海峡を挟むせめぎ合いも、朝鮮半島38度線を挟むにらみ合いも、それぞれに緊張の度合いは上昇方向で変化はしていますが、ラインそのものは比較的強固です。強固であるが故に、ラインが突破される時には破局的な事態になる危険はあります。

一方、東シナ海と太平洋をに挟まれたゾーンは群島ゾーンであるが故に、ラインの状況が非常に流動化しやすい点に注意が必要でした。竹島尖閣諸島の状況変化は、こうした「脆弱」なラインに対する守備の意識の不足からつけ込まれた事態と言って良いでしょう。

 竹島尖閣諸島の情勢について、合衆国はこれまで、あまり強い調子の発言はしてきませんでした。竹島については上記のラインには直接関係しないこと、尖閣諸島も合衆国にとっての「死守すべきライン」までは、まだ距離があることがその理由でしょう。

では「死守すべきライン」とは、どこか?それが「沖縄」です。

合衆国の東アジア戦略の死守線は、台湾海峡〜沖縄本島の北西〜朝鮮半島を結ぶラインです。つまり「台湾」「沖縄」「韓国」というゾーンを含んでいれば、まずます安泰ということです。言い換えれば、このラインを突破されれば、中国は海軍力を太平洋へ自由に展開できるようになり、合衆国の領土を含む太平洋地域全体が流動化することになります。合衆国としては、それは絶対に避けたい事態です。

ではこの「台湾」「沖縄」「韓国」の中で、どこが一番重要でしょうか?言うまでもなく。それは「沖縄」です。だからこそ合衆国は太平洋地域で最大の軍事力を沖縄に集中しているのであり、おいそれと基地返還に応じることはできず、他へ移すこともままならないのです。

合衆国の軍隊が沖縄の大きな部分を占有して駐留し続けるのは、沖縄が好きだからでもキライだからでもなく、沖縄が「そこ」にあるからなのです。

 もう少し具体的に考えましょう。もし、台湾海峡で事態が急変(人民軍が海峡を越えて侵攻する、ということです)したら、これに対応するには台湾に兵力を置いて備えることが最も効果的なのは明らかです。朝鮮半島も同様です。

しかし、それは同時に、中国との間で常時、一触即発の緊張状態を持続することになります。合衆国が台湾や韓国の駐留兵力を削減する一方で、沖縄の兵力の精鋭化と近代化を進めているのは、こうした常時緊張状態に合衆国も耐えられなくなっているからです。

沖縄であれば、台湾海峡や朝鮮半島からある程度(陸上兵力を即時大量投入はできない程度に)離れていて、緊張感を和らげることができます。また、こうして「距離」を採ることは、飛び道具(航空機、巡行ミサイル、電子兵器など)の能力に秀でた合衆国群に相対的な優位性をもたらすことにもなります。

合衆国の衛星やレーダーは中国の動きを確実に捉えて、航空機やミサイルを確実に破壊できるという、確信があるからです。そしてその逆は、それほど確実ではない、という安心感もあるのです。なにせ中国はまだ攻撃型空母をやっと一隻導入したばかりで、運用実績は皆無なのですから。

 それならば、べつに沖縄でなくとも、日本本土でもグアムでも良いではないか?と思うかもしれませんが、実際に事態が深刻になった場合には、今度は「距離」の近さが重要になります。兵力投入までの時間が問題となるです。

沖縄は(不幸なことに)、台湾海峡と朝鮮半島を直線で結んだ、ちょうど真ん中にごく近い位置にあります。つまり、台湾でも韓国でもない場所で、ふたつのホットスポットに最も近い場所にあるのです。このふたつの場所での事態の両方に備えるために、これほど適した場所は、沖縄の北に人工島でも造らない限り、得ることのできない「絶好」のロケーションなのです。沖縄の不運でしょうか?

でも、私たちは、もしも沖縄を「私たちの同胞」と認めるのならば、この沖縄の不幸な運命を変える努力をしなくてはならないのではないでしょうか?そして、その沖縄の運命を形成している要因は、台湾海峡と朝鮮半島の緊張状態であり、その歴史的経緯に私たちの祖先が深く関わっているのであれば、なおさら、その緊張状態を解きほぐす方策をこそ、真剣に思考し、試行し、実現を目指さなくてはならないのではないでしょうか?

沖縄の方々は、1970年前後に日米間で進められた返還交渉の中で、苦しい選択(アメリカか?ヤマトか?)を迫られ、その代表に本土復帰推進派の屋良主席を選ぶことを通じて、その意志を示したのです。ヤマトに賭けたのです。

しかしその想いは、残念ながら復帰40年を目前にしても、かなえられてません。私たちは、沖縄の人々の選択の重さを、今一度噛み締めて、私たちが行うべきことを考える必要があると思います。

 一方で、沖縄には、基地負担とそれに伴う理不尽な立場の甘受から逃れるためならば、ヤマトの支配から離脱しても良いと考える人々があります。琉球独立運動です。

たとえ沖縄の人々が望まないとしても、合衆国と中国の力関係と取引のよって、近い将来に沖縄の運命が変わるかも知れない事態を、今回の人民日報の論文は予示していると言っても良いでしょう。中国は合衆国の反応を探っているのです。

繰り返しますが、台湾海峡と朝鮮半島で緊張が続く限り、合衆国は沖縄での強力な軍事的プレゼンスを一歩たりとも後退させることはありません。つまり合衆国が中国に、沖縄を「ただ」で渡すことは絶対にない。しかし「ただ」ではないのであれば、取引はあり得るでしょう。合衆国はアジア太平洋地域で中国が好き勝手に暴れ回る心配さえなければ良いのです。もし中国との間で「大人の取引」が成立すれば、沖縄は容易くその取引材料にされる可能性は、あります。

そしてそれは、ふたつの大国の論理によるものであって、沖縄の人々の意志によるものではありません。

繰り返します。沖縄の人々は40年前に意志を示しました。日本を選んでくれたのです。私たちはその期待に、まだ答えていません。私はなんとかして、その期待に答えられる日本にしたいと思います。

 

 以下、冒頭の2記事のソースとなった配信を引用しておきます。

【北京共同】8日付の中国共産党機関紙、人民日報は沖縄県について「独立国家だった琉球を日本が武力で併合した」などとして、第2次大戦での日本の敗戦時は「琉球の帰属について議論するべき時だった」と主張する論文を掲載した。中国では最近「日本は沖縄に対し、合法的な主権を有していない」との主張が出ているが、党機関紙に掲載されるのは珍しい。沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる問題での日本けん制が狙いか。(2013/05/08-19:30)

【ワシントン時事】米議会調査局は8日までに、安倍晋三首相の歴史認識をめぐる言動に関し、「(北東アジア地域を不安定にさせ)米国の国益を損ねかねない問題から距離を置き、外交政策をかじ取りできるかどうかをめぐって疑問が生じている」と指摘する報告書を公表した。
 報告書は安倍首相を「強固なナショナリスト」と紹介。首相の発言は「帝国主義日本の侵略やアジア諸国の犠牲を否定する歴史の修正主義にくみしていることを示す」と明記した。
 また、旧日本軍の従軍慰安婦問題への関与を認めて謝罪した「河野談話」見直しは日韓関係を悪化させると強調。日本の近隣諸国や米国は首相が靖国神社参拝に踏み切るかどうかなどを注視していくとの見方を示した。
 沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立に関しては、「最も重要なのは、米国が(日米安全保障条約に基づき)日中の軍事衝突に直接的に関与する可能性があることだ」と説明。米政府が日中双方に警告を発していることに触れた。
 報告書は日本や日米関係の現状などについて定期的にまとめているもので、議員への情報提供が目的。(2013/05/09-11:23)