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yamada-isak's thinking

できるだけ自分自身できちんと考えたことを書きたい。できるだけ、ね。京都から日本を、世界を考えます。

「...すればよい」という指令が含む、誤った権力意識(または無意識)

2013年5月22日のHunter(ハンター)に以下の記事が掲載された。

橋下徹さんへ ― 風俗嬢からの反論
http://hunter-investigate.jp/news/2013/05/post-363.html


記事によれば
「HUNTERに「沖縄の風俗嬢」と名乗る方からのご意見メールが届いた。携帯電話の番号が明記してあり、話したいという。早速連絡したところ、本名はもちろん、勤め先の店名や源氏名まで教えてくれた。」とのことだ。
今日はこのメールを手がかりに、橋下発言の内「3.普天間の司令官に、もっと風俗業活用して欲しいって言ったんです。」について考えてみたい。

その女性からのメール(Hunter記事から引用)は、以下に引用するとおり。


「(一連の発言を)沖縄のためにやってるなんて冗談じゃない。自分の間違いを沖縄に押し付けるのは筋違いでしょ。だれも沖縄のことを橋下に頼んだりしていないよ。話をごまかして、自分を守りたいだけでさ、ホントは沖縄のことや風俗のことなんか何も分かってない。米軍だけが悪いから性犯罪が多いんじゃなくてさ、基地がほとんど沖縄にあるのが問題なんじゃないの?分かってないよね。
 私は風俗嬢だよ。ハッキリそう書いてね。アメリカ人のお客さんも来るから、お相手しますよ。でも国のためとか、米軍のためにやってるんじゃない。仕事がなくても沖縄に居たいから、仕方なく風俗やってる娘は多いんだよ。橋下から命令されるいわれもないよね。女を下に見てるんだろうね。
 一番こいつ(橋下)がバカだと思うのは、批判されて『慰安婦制度は認められない』なんて格好つけるくせに、じつは米軍の司令官に『風俗を使え』と言ってたこと。それって、沖縄の風俗嬢に米軍の“慰安”をやれってことでしょ。米軍の性欲解消に沖縄の風俗嬢を差し出してるわけで、昔の従軍慰安婦と同じことよね。矛盾してる。
 自分の間違いに気付かないのもみっともないけど、きちんと謝らないのが頭にくる。何様のつもりか知らないけど、(沖縄には)二度と来るなと書いて欲しい。」

彼女の立場を要約すれば
「他人の立場や意志、役割や行為を、勝手に代弁するな」と言うことだ。

私を含めて、今回の橋下氏の発言に対して様々な批評や反論、賛同を述べている人たちの多くは、この問題に直接関わる「当事者」ではない。当事者は「元慰安婦」の方々であり、旧日本軍兵士であり、(沖縄駐留の)合衆国軍、国防総省および合衆国政府であり、(沖縄の)風俗で働く女性たちだ。
その当事者からの発言は、重い。

彼女は言う
「だれも沖縄のことを橋下に頼んだりしていないよ。」
「沖縄の風俗嬢に米軍の慰安をやれってことでしょ。」

彼女はこの発言に「権力関係」を明確に見て取っているのだ。命令する側とされる側、と言うことだ。そして橋下氏の発言は、徹頭徹尾、橋下氏自身が「命令する権力」の側に立ってなされていて、風俗嬢はもちろん、米軍すら「命令される側」に置かれている、と言うことだ。

言うまでもないことだが、橋下氏には彼ら彼女らに、命令する権限も権利も、一切ない。

橋下氏は大阪市民の意志によって選ばれた大阪市民の公僕であり、大阪市民の意志に従ってこれを代弁し、代理として行動することが彼の職務であるはずだ。
また一方で彼は公党としての「日本維新の会」の共同代表だ。それはこの政党の党員と支持者を代表し、これを代弁するとともに、党内に対して影響力を行使することだ。
しかし、もちろん彼の権限は、沖縄にも、合衆国にも、およぶことはない。

もし大阪市長としての橋下氏がこの問題について発言するのであれば、大阪市民のこの問題(慰安婦制度、米軍の沖縄駐留、風俗業制度)についての意見と意志を代弁し、大阪市としての政策として提案し、大阪市民にこれを問うとともに、政府および他自治体に対しても呼びかける、というスタンスを採らなければならない。
また日本維新の会共同代表としてであれば、党員他を代弁して会のこの問題に対する見解を述べ(この部分でも、もうひとりの共同代表との間でさえ見解の一致を見ていないことは明白)、会の構成員および支持者に対して賛同と共同行動を呼びかけるとともに、政府および他政党に対して討論・協議の機会を設けることを提案する、というスタンスになるはずだろう。


橋下氏の発言のスタンスは、このいずれからも大きく逸脱している。

「沖縄の風俗嬢」の発言ににじむ違和感と反感は、いみじくも、この「越権」を見抜いたものと読むことができる。彼女の勇気を、私は賞賛する。